岸田文雄首相(自民党総裁)は10日午後、第2次岸田政権の発足後で初の内閣改造をする。留任や再登板を含む閣僚経験者が半数を占める安定感を重視した布陣とした。同日午前の党の臨時総務会で「心機一転、気持ちを新たに難局突破、政策断行にまい進していきたい」と語った。
「日本は今戦後最大級の難局のさなかにあり政治の空白は一刻も許されない」とも強調した。
自民党は10日午前に臨時総務会を開き新執行部の人事を決めた。麻生太郎副総裁、茂木敏充幹事長と高木毅国会対策委員長を再任した。総務会長に遠藤利明選挙対策委員長、政調会長に萩生田光一経済産業相、選対委員長に森山裕総務会長代行が就いた。
小渕優子組織運動本部長の再任も決めた。広報本部長には石田真敏氏が就く。銃撃を受けて死去した安倍晋三元首相の側近だった萩生田氏から、菅義偉前首相や二階俊博元幹事長と近い森山氏までを起用し挙党態勢をつくる。
茂木氏は記者会見で宗教団体の世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関係をめぐり「引き続き適正に対応していきたい」と述べた。萩生田氏は「外交、安全保障政策の強化が最大の課題だ」と訴えた。
第2次岸田改造内閣は皇居での認証式を経て10日午後に発足する。
新型コロナウイルス対応や年内に控える国家安全保障戦略などの改定といった課題を意識し閣僚経験者を起用する。
厚生労働相に3回目の登板となる加藤勝信氏、防衛相に2回目の浜田靖一氏が就く。ワクチン接種の促進担当も官房長官から厚労相に移す。
デジタル相に河野太郎党広報本部長、経済安保相に高市早苗党政調会長をそれぞれ起用する。健康状態を考慮して交代させる岸信夫防衛相は国家安保担当の首相補佐官に充てる。
松野博一官房長官や鈴木俊一財務相、林芳正外相ら5人が留任する。各派閥の意向を尊重して「入閣待機組」を中心に人選し、初入閣は9人となった。女性は高市氏と永岡桂子氏の2人。
旧統一教会との関係を認めた現職閣僚は改造内閣から外れた。松野氏は10日の記者会見で、関係の点検や厳正な見直しについて「方針は改造後の内閣でも引き継ぐ」と話した。
派閥ごとの入閣者数は最大派閥の安倍派と第3派閥の麻生派が最多の4人。茂木派と岸田派が3人、二階派は2人で、各派閥にポストを割り振る派閥均衡型の色が濃い。
首相は新閣僚の発表に先立ち、臨時閣議で閣僚の辞表をとりまとめた。この後、公明党の山口那津男代表との党首会談に臨む。首相官邸に組閣本部を設けて新閣僚を呼び込み、松野氏が閣僚名簿を発表する。首相は10日午後に記者会見をする。