生活用品大手のアイリスオーヤマが、約50種類の製品の生産を中国・大連から国内の工場に移すことを決めた。9月14日、NHKが報じた。
報道によると、大連の工場では、主に日本向けプラスチック製品を生産しているが、原材料価格や輸送費の高騰でコストが上昇。円安の長期化もあり、衣装ケースなどを国内3工場に移管するという。
埼玉県深谷市の工場には、すでに生産に必要な6種類の金型が到着。国内生産に切り替えることで、約2割のコスト削減が見込めるため、さらに園芸・除雪用品などの移管も検討してるという。
スポーツコメンテーターの為末大氏は、9月15日、この記事を引用しつつ《中国よりも日本で作ったほうが安くなりました》と自身のTwitterに投稿。
タレントのモーリー・ロバートソン氏もやはり記事を引用して《こんな形で中国離れが起きるとは》と投稿するなど大きな話題となり、「アイリスオーヤマ」がトレンド入りする事態となった。
「アイリスオーヤマは、約100億円を投資して岡山県瀬戸内市に工場を新設すると発表。2024年に着工する予定です。
同社に限らず、日本の製造業の国内回帰の機運は高まっています。半導体大手のルネサスエレクトロニクスは、2014年に閉鎖した甲府工場の生産を2024年から再開すると発表。再稼働に900億円を投資する計画です」(経済担当記者)
アイリスオーヤマが中国から国内に生産を移すことで、約2割のコスト削減を見込めるということに、SNSでは議論が沸騰した。
《国内経済の回復にも貢献する素晴らしい決断だ!》
《この流れを拡げていって欲しい》
と歓迎する声がある一方で、日本の生産コストが下がっていることを危惧する声も多く上がった。
《いよいよ国内回帰が(止むに止まれず)始まったかな。現時点でも2割はなかなかインパクトある》
《150円/$で日本の生産コストは中国を下回ると言われている。輸送コストを含めれば、日本はすでに中国よりも労賃が安い国になったということ》
《これは輸送費とかの関連が原因で、人件費だけを見ればまだまだ中国の方が安い。しかし比べられる時点で、日本が安くなったのは確かなんでしょうね》
《中国より日本の人件費の方が安いからレノボやファーウェイが日本に工場作る時が来るかもね》
9月14日、円相場は1ドル=144円台後半で推移。岸田文雄首相は経済財政諮問会議で、足元の円安メリットを生かした企業の国内回帰や供給力強化といった「日本の稼ぐ能力」を高める取り組みが重要と話しているが、はたして――。