日韓トンネルの現状は?

日韓トンネル

佐賀県唐津市鎮西町名護屋の山中に「日韓トンネル唐津調査斜坑」の文字とハングルが書かれた看板がある。7月に安倍晋三元首相が銃撃されて死亡した事件で、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)を巡る問題が浮上する中、約40年前に旧統一教会の創設者が提唱した構想に基づく施設。周辺に人けはなく、ひっそりとしている。

 日韓トンネルは、九州と朝鮮半島を結ぶ二百数十キロの海底トンネルの構想。事業を担う一般財団法人「国際ハイウェイ財団」(東京)のウェブサイトによると、1981年、旧統一教会創設者の故・文鮮明(ムンソンミョン)氏が提唱したとされている。翌82年、「国際ハイウェイ建設事業団」が設立され国際勝共連合会長が要職に就いた。2009年1月に「国際ハイウェイ財団」が事業を継承した。

 トンネルは、現時点で直径6メートルの斜坑が540メートル掘削されている。16年には文鮮明氏の妻で、世界平和統一家庭連合の韓鶴子(ハンハクチャ)総裁が斜坑を訪れたことが同財団のニュースレター「現場だより」で記されている。

 ▽「半信半疑」

 1999年から1期、鎮西町長を務めた酒井幸盛さん(72)は「前の町長から日韓トンネルに関する引き継ぎはなかった」と振り返る。「大型バスが何台も来ている」との情報があり「何があっているのか、町として知っておかないといけない」と1度、現地を視察したことがあるというが「それ以上、町として関わることはなかった」と話した。

 合併前の鎮西町の元町議は、議会一般質問で日韓トンネルの状況についてただそうとしたが、当時の議長から「日韓トンネルは統一教会の問題だから、深入りしない方がいい」と止められた経験があるという。

 長年、日韓交流に携わっていることもあり、1度だけ日韓トンネルに関する講演会に出席した。「費用は10兆円、資金は億万長者の寄付によって集まった、といった内容だったと記憶しているが、当時、旧統一教会に関する内容は全く出なかったし、実現性は半信半疑だった」と話す。

 ▽「記録ない」

 登記や地元住民の話によると、調査斜坑の現場は牧場の跡地。2009年に所有権が「世界基督教統一神霊協会」に、翌10年に「国際ハイウェイ財団」に移っている。開発行為に伴う許認可の権限は県にあるが、県環境課は「日韓トンネルに関する記録がなく、届け出があったかどうか分からない」という。

 26日に開かれた唐津市の定例記者会見で峰達郎市長は「(県からは)トンネルを掘るだけでは(開発行為に)該当しないとの報告を受けた」と述べた。市の立場については「あくまでも民間団体が任意で私有地内で活動されているものと理解している。市は一切この事業に関与していない」と説明した。

 唐津市鎮西町名護屋の調査斜坑現場での工事は07年11月以降、行われていない。国際ハイウェイ財団の担当者は「斜坑内の湧水をポンプで排水する維持管理は常時行っている」と説明し、「当面工事は行われない。ただし日韓トンネル全体の建設の見通しがついた時点で、延伸工事などが着手されていくと思われる」とコメントした。

日韓トンネルの現状は? 唐津の斜坑現場工事、ひっそり 唐津市「私有地で活動」 | 行政・社会 | 佐賀県のニュース | 佐賀新聞
佐賀県唐津市鎮西町名護屋の山中に「日韓トンネル唐津調査斜坑」の文字とハングルが書かれた看板がある。7月に安倍晋三元首相が銃撃されて死亡した事件で、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)を巡る問題が浮上する中、約40年前に旧統一教会の創設者が提唱...
タイトルとURLをコピーしました